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【基盤研究(S)】​2021-2025
研究課題名 海洋コンベアベルト終焉部における鉄とケイ素を含めた

栄養物質プロパティの 形成過程

 

キーワード:鉄、ケイ素、化学的プロパティ、北太平洋、珪藻

2023.3.9-3.10 東京大学大気海洋研究所共同利用研究集会「微量元素・同位体を用いた海洋生物地球化学究 (GEOTRACES-Japan)」を実施し下記の成果を発表しました。

 

・今井望百花・村山愛子・小野数也・山下洋平・鈴木光次・中村知裕・大島慶一郎・三寺史夫・西岡 純、オホーツク海における海氷融解後の生物化学的環境と鉄供給インパクト、東京大学大気海洋研究所共同利用研究集会「微量元素・同位体を用いた海洋生物地球化学研究 (GEOTRACES-Japan)」、2023年3月9日〜3月10日、東京大学、口頭発表

西岡純・村山愛子・今井望百花・小畑元、KH-22-7次航海の溶存鉄濃度速報値と過去データとの比較、東京大学大気海洋研究所共同利用研究集会「微量元素・同位体を用いた海洋生物地球化学研究 (GEOTRACES-Japan)」、2023年3月9日〜3月10日、東京大学、口頭発表

Deng H.、西岡純、鈴木光次、安田一郎、小川浩、Phytoplankton responses to iron, macro-nutrient fluxes in Western North Pacific、東京大学大気海洋研究所共同利用研究集会「微量元素・同位体を用いた海洋生物地球化学研究 (GEOTRACES-Japan)」、2023年3月9日〜3月10日、東京大学、口頭発表

近藤能子、山中紘輝、岩田遥貴、砂原雄大、西岡純、小畑元、北太平洋およびその隣接海域における鉄の光化学反応による形態変化、東京大学大気海洋研究所共同利用研究集会「微量元素・同位体を用いた海洋生物地球化学研究 (GEOTRACES-Japan)」、2023年3月9日〜3月10日、東京大学、口頭発表

2023.3.6-3.10 国際シンポジウム「Seventh International Symposium on Arctic Research (ISAR-)」において下記の成果を発表しました。

 

- Suzuki, K., Y. Yoshino, Y. Nosaka, J. Nishioka, S. B. Hooker, T. Hirawake: Diatoms contributing to new production in surface waters of the Northern Bering and Chukchi Seas during summer with reference to water column stratification,Seventh International Symposium on Arctic Research (ISAR-7), 2023年3月6–10日, 国立極地研究所・ハイブリッド会議

- Fukai, Y., K. Matsuno, A. Fujiwara, K. Suzuki: Characteristics of autumn diatom communities in the Chukchi Sea unraveled by combined DNA metabarcoding and scanning electron microscope techniques,Seventh International Symposium on Arctic Research (ISAR-7), 2023年3月6–10日, 国立極地研究所・ハイブリッド会議

2023.2.22 国際シンポジウム「The 37th International Symposium on the Okhotsk Sea & Polar Oceans」を実施し下記の成果を発表しました。

 

- Imai, M., A. Murayama, K. Ono, Y. Yamashita, K. Suzuki, T. Nakamura, K. I. Ohshima, H. Mitsudera and J. Nishioka, Impact of sea ice meltwater on biogeochemical condition in the southern Sea of Okhotsk, The 37th International Symposium on the Okhotsk Sea & Polar Oceans, Feb. 22, 2023, Monbetsu.

- Nishioka, J., T. Toyota, A. Murayama, K. Ono, M. Imai, Y. Yamashita, K. Suzuki, T. Nakamura, K. I. Ohshima, H. Misudera, Characteristics of Water Masses and Nutrients conditions in the southern Sea of Okhotsk, The 37th International Symposium on the Okhotsk Sea & Polar Oceans, Feb. 22, 2023, Monbetsu.

- Sun, Y., J. Nishioka, T. Toyota, K. Suzuki, Differences in phytoplankton communities and their environmental factors in the southern Sea of Okhotsk between winter and spring , The 37th International Symposium on the Okhotsk Sea & Polar Oceans, Feb. 22, 2023, Monbetsu.

- Nakamura, T., T. Nobetsu, T. Misaka, J. Nishioka, Y. Mitani, O. Yamamura and H. Mitsudera, Ocean monitoring and ship observations around Shiretoko, The 37th International Symposium on the Okhotsk Sea & Polar Oceans, Feb. 22, 2023, Monbetsu.

- Zhang Z., T. Nakamura and J. Nishioka, Seasonal mixed-layer dissolved iron variation in the Western Subarctic Gyre, The 37th International Symposium on the Okhotsk Sea & Polar Oceans, , Feb. 22, 2023, Monbetsu.

2023.1. 下記関連論文が公表されました。

Yamashita, Y., J. Nishioka, Dissolved Iron Concentration and the Solubility Inferred by Humic-Like Fluorescent Dissolved Organic Matter in the Intermediate Water in the North Pacific Including the Marginal Seas, J. Geophys. Res., Ocean, https://doi.org/10.1029/2022JG007159, (2023). 査読有り、プレスリリース

2023.1. 下記関連論文が公表されました。

Liu, K., J. Nishioka, B. Chen, K. Suzuki, S. Cheung, Y. Lu, H. Wu, H. Liu, Role of nutrients and temperature in shaping distinct summer phytoplankton and microzooplankton population dynamics in the western North Pacific and Bering Sea, Limnol. and Oceanogr., https://doi.org/10.1002/lno.12300, (2023).​ 査読有り、プレスリリース

 

2022.12.5-12.6東京大学大気海洋研究所共同利用研究集会「黒潮生態系とその変動を駆動する物理・化学・生物過程」シンポジウムにおいて下記の成果を発表しました。

 

・鈴木光次、S. Cheung、W. Qiu、似内梨紗、後藤寛治、H. Liu、高尾信太郎、中岡慎一郎、北太平洋中緯度域の主要新生産者である窒素固定生物と珪藻類の動態とそれらの支配環境要因、東京大学大気海洋研究所共同利用研究集会「黒潮生態系とその変動を駆動する物理・化学・生物過程」、2022年12月5–6日、東京大学大気海洋研究所・ハイブリッド会議、口頭発表

2023.2.9-2.15 海上保安庁砕氷船「そうや」に乗船し、冬季南部オホーツク海の海洋・海氷観測を実施しました。

2022.11.21-22 北海道大学低温科学研究所に於いて「海洋コンベアベルト終焉部の生物生産・物質循環における北方圏縁辺海の役割評価」ワークショップを実施し、R4年度の研究成果を14件報告しました。プログラムはこちら

2022.9.4-7 日本海洋学会秋季大会で本基盤S研究に関わる下記13件の発表を行いました。

 

・西岡 純、小畑 元、山下洋平、三角 和弘、南 秀樹、則末和宏、鈴木光次、近藤能子、中村知裕、三寺史夫、津旨大輔、坪野考樹、北太平洋中層水のケイ素を含めた化学的特性の形成過程:仮説の提案、2022日本海洋学会秋季大会、名古屋大学、2023年9月6日、口頭発表

・山下洋平、西岡純、中層水循環により縁辺海から北太平洋に輸送される溶存鉄の化学形 態、2022日本海洋学会秋季大会、名古屋大学、2023年9月6日、口頭発表

・三角和弘、西岡純、坪野考樹、津旨大輔、北太平洋の水温躍層へのケイ酸塩の供給に関する数値実験、2022日本海洋学会秋季大会、名古屋大学、2023年9月6日、口頭発表

・安田一郎、1980年代での黒潮大蛇行研究、黒潮大蛇行シンポジウム、日本海洋学会2022年度秋季大会、名古屋大学、2023年9月3日、口頭発表

・佐々木雄亮、安田一郎、勝又勝郎、纐纈慎也、内田裕、CTD搭載型高速水温計を用いた乱流断面観測及びファインスケールパラメタリゼーションに関する考察,日本海洋学会2022年度秋季大会、2022/9/3、名古屋大学、2023年9月3日、口頭発表

・久賀みづき、大島慶一郎、木村詞明、岸紗智子、西岡純、オホーツク海南部に高生物生産をもたらす海氷の後方粒子追跡実験、2022日本海洋学会秋季大会、名古屋大学、2023年9月4日、口頭発表

・土居知将、長船哲史、増田周平、纐纈慎也、小畑元、三角和弘、西岡純、Eric P. Achterberg、Andrew Bowie、全球海洋における溶存鉄分布の推定、2022日本海洋学会秋季大会、名古屋大学、2023年9月5日、口頭発表

・鈴木光次、閻冬、渡邉翔、深井悠里、押野祐大、吉田和広、西岡純、豊田威信、伊藤優人、入野智久、南部オホーツク海の春季植物プランクトンブルームを作る播種機構 :アイスアルジーの重要性、2022日本海洋学会秋季大会、名古屋大学、2023年9月5日、口頭発表

・大井田穣示、平譯享、山下洋平、阿部泰人、西岡純、和賀久朋、野村大樹、筧茂穂、有色溶存有機物(CDOM)を用いた海色衛星による高生産水塊の検出、2022日本海洋学会秋季大会、名古屋大学、2023年9月5日、口頭発表

・深井悠里、松野孝平、藤原周、鈴木光次、秋季の太平洋側北極海における珪藻群集組成の特徴: DNAメタバーコーディングと走査型電子顕微鏡による解析、2022日本海洋学会秋季大会、名古屋大学、2023年9月5日、口頭発表

・吉田和広、Ondrej Prasil、Andrew McMin、鈴木光次、アイスアルジーの基礎生産推定にむけた最適な海氷融解法の検討ークロロフィルa蛍光を指標にしてー、2022日本海洋学会秋季大会、名古屋大学、2023年9月5日、口頭発表

・中山大雅、栗原幸雄、村上浩、虎谷充浩、緒方一紀、平田貴文、石坂丞二、平譯享、松岡敦、鈴木光次、V. S. Kuwahara、伊佐田智規、GCOM-C/SGLI海洋圏プロダクトのVer.3アップデート概要と検鏡結果、2022日本海洋学会秋季大会、名古屋大学、2023年9月5日、口頭発表

・中野渡拓也、中村知裕、三寺史夫、西岡純、西川はつみ、内本圭亮、黒田寛、北太平洋亜寒帯域における基礎生産量の長期変化に対する熱塩・風成循環の影響、2022日本海洋学会秋季大会、名古屋大学、2023年ポスター

 

2022.7-8. 西部北太平洋における白鳳丸航海KH-22-7次航海を実施し、鉄の長距離輸送、中層水から表層へのSiとFeを含むフラックス見積もりなど本プロジェクトに関わる研究を実施しました。

2022. 6. 下記関連論文が受理されました。

Shunyan Cheung, Kailin Liu, Kendra A. Turk-Kubo, Jun Nishioka, Koji Suzuki, Michael R. Landry, , Jonathan P. Zehr, Szeki Leung, Lixia Deng, Hongbin Liu, High biomass turnover rates of endosymbiotic nitrogen-fixing cyanobacteria in the western Bering Sea, Limnol., Oceanogr. letter, 2022.

2022.6. 低温研共同利用研究集会「知床とオホーツク海の海氷-海洋-物質循環-生態系の連関と変動」で下記4件の研究発表をました。

 

・西岡純・豊田威信・村山愛子・小野数也・今井望百花・山下洋平・鈴木光次・中村知裕・
大島慶一郎・三寺史夫 「南部オホーツク海の水塊と栄養塩の関係」

・今井望百花・村山愛子・小野数也・山下洋平・鈴木光次・中村知裕・大島慶一郎・
三寺史夫・西岡純 「海氷融解水が生物地球化学的環境と春季ブルームに与える影響」

・鈴木光次・閻冬・渡邉翔・深井悠里・押野祐大・西岡純・豊田威信・伊藤優人 「南部オホーツク海の春季植物プランクトンブルームを形成する播種機構」

・山下洋平・今井望百花・村山愛子・小野数也・西岡純 「蛍光性溶存有機物を用いた春季オホーツク海の水塊解析」

2022. 6. 下記関連論文が出版されました。

Tazoe, H., H. Obata, T. Hara, M. Inoue, T. Tanaka and J. Nishioka, Vertical profiles of 226Ra and 228Ra concentrations in the western Subarctic Gyre of the Pacific Ocean, Frontiers in Marine Science, (2022).

 

2022. 4. 下記関連論文が出版されました。

Yan, D., J. Nishioka, T. Toyota, K. Suzuki, Winter microalgal communities of the southern Sea of Okhotsk: A comparison of sea ice, coastal, and basinal seawater, Prog. Oceanogr. 204, 102806, https://doi.org/10.1016/j.pocean.2022.102806.

2022. 4. 張  振龍さんが研究仲間に加わりました。モデル班で研究を進めます。

2022. 3. 下記関連論文が出版されました。

Wong, K. H., H. Obata, J. Nishioka, Y. Yamashita, Y. Kondo, Subarctic Pacific Intermediate Water: An Oceanic Highway for the Transport of Trace Metals in the North Pacific, Limnol. Oceanogr. Bulletin https://doi.org/10.1002/lob.10490, (2022)

​北太平洋中層水の重要性に関する内容です。

2022. 2. 下記関連論文が出版されました。

Nishioka, J., I. Yasuda, T. Hirawake, T. Nakamura, Y. Kondo, Y. N. Volkov, Biogeochemical and physical linkages between the Arctic Ocean and Sub-Arctic Pacific through marginal seas, Prog. Oceanogr.203, https://doi.org/10.1016/j.pocean.2022.102768 (2022)

2021.12.03  金沢大学国際シンポジウムで西岡が講演を行いました。タイトル:Sub-polar marginal seas fuel the North Pacific through the intermediate water at the termination of the global ocean circulation

2021. 12. 下記関連論文が出版されました。

Suzuki, K., Y. Yoshino, Y. Nosaka, J. Nishioka, S. B. Hooker, T. Hirawake, Diatoms contributing to new production in surface waters of the northern Bering and Chukchi Seas during summer with reference to water column stratification, Prog. Oceanogr., doi:10.1016/j.pocean.2021.102692, (2021).

2021.11.25 ロシア太平洋研究所 Pacific  Oceanographical Institute, Far Eastern Branch Russian Academy of Scienceのロバノフ所長を低温研国際シンポジウムに招待しました(オンライン)


2021. 11. 下記関連論文が出版されました。
Nishioka J., T. Hirawake, D. Nomura, Y. Yamashita, K. Ono, A. Murayama, A. Shcherbinin, Y. N. Volkov, H. Mitsudera, N. Ebuchi, M. Wakatsuchi, I. Yasuda, Iron and nutrient dynamics along the East Kamchatka Current, western Bering Sea Basin and Gulf of Anadyr, Prog. Oceanogr., doi:10.1016/j.pocean.2021.102662, (2021). 

2021.10.26 低温研・研究集会 「縁辺海と外洋とを繋ぐ対馬暖流系の物理・化学・生物過程」において、下記の発表を行いました。

 「冬季から春季の南部オホーツク海における宗谷暖流とその周辺水塊の栄養物質環境」 西岡 純・豊田 威信・三寺 史夫・中村 知裕・小野 数也・大島 慶一郎・村山 愛子(北大低温研 環オ)・ 鈴木 光次(北大地球環境)・渡辺 裕・今井 望百花(北大環境科学院)

​2021.8.26 研究プロジェクトのキックオフミーティングをオンラインで実施しました。

2021.7. 研究プロジュエクトが採択されました。

本研究の概要

本研究は、地球規模海洋コンベアベルト終焉部の北太平洋を研究対象とし、日本周辺の「海の恵み」を生み出す栄養物質の化学的プロパティを制御する仕組みの解明を目指す。「海洋の主要基礎生産者である珪藻類の増殖」を制御するケイ酸塩(Si)や鉄分(Fe)が、どこで、どのような化学的プロパティ(窒素(N)やリン(P)に対対する比)北太平洋中層循環に取り込まれ、広域に移送され、西部北太平洋亜寒帯域および南部オホーツク海表層の生物生産が生み出されているのかを、観測に基づく国境を跨いだ唯一無二のデータセットを作成し解析することで定量的に把握する。さらに将来海氷が著しく減少した場合、「海の恵み」がどのように変化するのかを化学的プロパティの知見を含めて数値モデルで予測する。

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本研究の背景

 

日本周辺の海の恵み:日本が面する西部北太平洋は、全海洋の面積の6%を占めるに 過ぎないが、全海洋の水産資源の27%を生み出すと見積もられ、生産性が世界で最も高 い海域と報告されている(Food and Agriculture Organization : 2014報告書)。これらの水 産資源を支えているのは海洋の基礎生産者である植物プランクトンである。中でも珪藻 類の増殖が北太平洋の高い水産資源を支えている。また植物プランクトンは、光合成を 行うことでCO2を有機物に変え、有機物粒子の沈降を介し炭素を海洋の中深層に送り込 む。この海洋のCO2吸収機構は「生物ポンプ」と呼ばれ、特に大型の珪藻類が生物ポン プに果たす役割は大きい。本申請書で取り上げる「海の恵み」とは、水産資源やCO2の 吸収に繋がる植物プランクトン、特に珪藻類の増殖を想定する。この珪藻類の増殖には、 その外殻を形成するためのケイ酸塩(Si)が欠かせな い。また、珪藻類はその他の藻類に比べて鉄(Fe)の要 求量が大きい。海洋で珪藻類が優占するためには、如 何にSiやFeが、硝酸塩(N)やリン酸塩(P)に対して より多い比(化学的プロパティ)で海洋表層に供給さ れているのかが極めて重要な鍵となる。北太平洋の「海 の恵み」を生み出す化学的プロパティはどのように決まっているのだろうか?

これまでに明らかになった縁辺海と北太平洋を跨ぐ栄養物質循環:

 

北太平洋亜寒帯域は、地球規模の海洋 コンベアベルトの終焉部(深層水の出口)に位置して おり、表層には主要栄養塩(N、P、Si)が豊富に存在している(図1)。これまで北太平洋亜 寒帯域は漠然と「栄養塩が豊富な深層水 が表面にまで運ばれている海域」と認識 されてきた。しかし一般的に密度成層の 強い海洋において、水が上下に入れ替わ る(混ざる)ことは難しく、深層の栄養 塩が表層に回帰する仕組みは理解され ていなかった。日本周辺の北太平洋の 「海の恵み」を生み出す仕組みを理解す るためには、海洋コンベアベルト終焉部 で起こっている栄養塩(N, P, Si)と必須 微量栄養素であるFeの循環を解明する 必要があった。

海洋コンベアベルト終焉部の【新栄養物質循環像

ロシアとの共同研究を含め、20年以上かけて実施してきた我々の研究によって、海洋 コンベアベルト終焉部に位置する新たな栄養物質循環像(以下“新栄養物質循環像”と 記す)が提示され、北太平洋の栄養物質循環の理解が大きく進んだ(Nishioka et al., PNAS 2020)。北方圏縁辺海であるベーリング海中層で形成され北太平洋中層水 (NPIW)の循環(以下NPIW循環;300-1000 m付近の循環)によって広がる栄養塩プー ル(主にNとP)と、海峡部で起こる鉛直混合が、深層と表層の栄養塩を間接的に繋いで いることが明らかになった。この栄養塩プールと、海氷が駆動する中層水循環によって オホーツク海から流出するFeが混合することで、西部北太平洋の植物プランクトン生産 が高められていることが解明された。この研究成果は、これまでに予想されていた「深層に蓄積されている栄養塩が直接表層の高緯度海域を肥沃にしている」という考えを覆し、地球規模の深層循環の出口となるエリアで、新たにNPIW循環を介した物質循環像 を提示した点で注目されている。下記は新栄養物質循環像(左)の概念図とFe循環(右)。

 

 

本研究の学術的「問い」 
本申請課題では、①なぜNPIWはSiやFeが豊富な水塊になるのか? ②なぜ西部北太平洋やオホーツク海で珪
藻が大増殖するのか?について、NPIW循環が栄養物質の化学的プロパティを制御する仕組みを含めて明ら
かにする。さらに③将来海氷が生成されなくなった場合「海の恵み」がどのように変化するのか?を予測する。

① なぜNPIWはSiやFeが豊富な水塊になるのか?:

これまでに我々の示してきた“新栄養物質循環像”ではまだ説明できない重要な点が残されている。栄養塩のうちN、Pの循環は説明可能となったが、珪藻類を生み出す上で欠かせないSiの循環が未だ説明できていない。北太平洋亜寒帯域は、Si濃度が他の海盆にくらべて異常に高い特徴がある(Sarmineto et al., 2004)。古くより「北太平洋はケイ素の海」と呼ばれ(Tsunogai and Watanabe, 1983)、このSiは海洋表層で珪藻類の増殖を促進し「海の恵み」を支えている。NPIWとなる中層水の栄養物質は、温度躍層を超えて表層の一次生産者の種組成や量を支配していることが数値モデルにより示唆されている(Sarmiento et al., 2004)。“新栄養物質循環像”で示された中層水中のN、Pは、海峡部の鉛直混合や冬季混合によって表層に供給され、表層で植物プランクトンに取り込まれ、粒子となって沈降し、バクテリアによる分解を受け再び中層水に放出されることで、その約半分は表層と中層をループ循環している(上図;新栄養物質循環像)。しかし、Siは珪藻殻のやや遅れた溶解によって、より深い深度で溶存化するため、この表層–中層ループから除去されてしまうと考えられる(下図)。南極海中層水では、N、Pに対してSi のみ除去された水塊が中層に形成されるため(Sarmiento et al., 2004)、南半球亜寒帯−亜熱帯域の主な植物プランクトン群衆はSiを必要としない非珪藻類が優先している(Coale et al., 2004)。一方、北太平洋亜寒帯域やNPIWは世界で最もSiが豊富な水塊となっており(下図)、「なぜNPIWはSiが豊富になるのか」は明らかになっていない。また、新栄養物質循環像”では、Feはオホーツク海陸棚の堆積物から供給され、海氷生成が駆動するNPIW循環によって長距離移送されている事実が把握された(Yamashita, Nishioka et al., Sci. Rep. 2020)。しかし、酸素の多い海水中ではFeは反応性が高く、水酸化物の粒子になって除去されやすいはずである。「なぜ除去されやすいFeがNPIWに留まって長距離移送されるのか」は不明である(下図)。つまり「なぜNPIWはSiやFeが豊富な水塊になるのか?」、この理由こそがNPIW循環が支配する北太平洋が「珪藻の海」となる鍵となっている。本申請研究では「海の恵」を生み出す仕組みを明らかにするために、どのようにSiがNPIW循環に付加されるのか、どうしてFeが長距離移送されるのかを解明する。

 

 

なぜ西部北太平洋やオホーツク海で珪藻が大増殖するのか?:

西部北太平洋亜寒帯域の日本三陸東方沖は、春季から夏季にかけての栄養塩やCO2減少量が大きく、年間有機物生産の大きな海域となっている(Yasunaka et al, 2014、下図 黒丸)。これには春季から夏季にかけて継続して起こる珪藻類の増殖の寄与が大きい。この珪藻類が増殖するメカニズムを明らかにするためには、制限要因となっているFeや次に枯渇しやすいSiが、NやPに対してどのような比でNPIWから表層へ供給されているのかを把握する必要がある。また、冬季に海氷が覆う南部オホーツク海は、日本が面する海域の中で最も豊かな水産資源を持つ。オホーツク海では、春季、海氷融解直後の最も早い時期に、冷水帯において高緯度特有の大規模な珪藻類大増殖(珪藻ブルーム)が起こる(下図 白丸)。しかし、海氷の生成や融解がこの海域の栄養物質の化学的プロパティにどのような影響を与えているのかについて未だ十分な知見は無い。これまでの研究で、海氷が海洋表層に珪藻類の増殖を促進するFeを供給していること、海氷を基盤に生息しているアイスアルジーの一部は海氷融解後に水中内で増殖することが可能であること(室内実験で確認、Yan et al, 2020)など申請者らによって解明されてきた。しかし、海氷融解直後の現場観測データは皆無であり、実海域で大規模な珪藻ブルームを生み出す栄養物質の化学的プロパティを決めるメカニズムは明らかになっていない。本研究では、中層循環と海氷融解水を含む水塊のSiやFeを主とした栄養物質を船舶観測より把握し、なぜ南部オホーツク海で大規模な珪藻ブルームが起こるのかを解明する。

 

 

 

 

 

 

 

③将来温暖化で海の恵みがどのように変化するのか?:

オホーツク海では海氷の減少が観測されており、NPIW循環の弱化を含めて環境の激変が懸念されている。海氷が生成されなくなった場合、「海の恵み」がどのように変化するのかを数値モデルを用いて予測する。

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研究の方法(どのようにして課題を明らかにするのか)

●国境を跨いだNPIW循環域の栄養物質(Fe, Si, N, P)データセットの作成(西岡、PD):

ロシアEEZの縁辺海を含めたNPIW循環の及ぶ全域をカバーした、化学的プロパティ形成過程が水塊と共に解析可能な、Feを含めた栄養物質の唯一無二のデータセットを作成する。これには、過去20年間に集めたデータと本申請で新たに実施する観測(下記)データを用いる。

●なぜNPIWはSi豊富になるのか?(西岡、三寺、山下、南):

挑戦的研究(萌芽R2-R3)で実施したデータ解析の結果(図4、中層水のNに対するSiの過剰度)から、NPIW循環にSiが取り込まれる仮説として2つを提示する。仮説1は、オホーツク海東部から北部にかけた大陸棚からNPIW循環に取り込まれるSiを想定する(図4)。仮説2は、ベーリング海西部海盆域に存在する世界一高いSi濃度を持つ深層水から中層水に取り込まれるSiを想定する(図4)。仮説1では、ロシアEEZのためデータの空白域となっているオホーツク海東部から北部にかけた大陸棚にかけて観測研究を実施する。アムール川やカムチャツカ半島から注ぐ河川によって供給されるSiを淡水トレーサー(酸素安定同位体比等)と共に測定することで把握する。また大陸棚堆積物から海水中に溶出するSiを、堆積物影響の指標となるN*インデックス(N、Pから計算)と共に測定することで把握する。これらオホーツク海陸棚域に供給されるSiが、どのように海氷生成が駆動するNPIW循環に取り込まれているのかを、水塊の各栄養物質の化学的プロパティを用いて把握する。仮説2では、ベーリング海海盆域の現場観測を実施する。Fe不足の海盆域の珪藻類によって生成される沈降粒子や溶解過程のSi:NやSi:P比を観測し、深層にSi が蓄積するメカニズムを把握する。また、海盆域からアリューシャン海峡部付近の栄養物質分布と乱流パラメータを観測し、深層から中層に移行する水塊の栄養物質の化学的プロパティを把握する。得られた知見を上記データセットに組み込み解析することで、NPIW循環のSi豊富な化学的プロパティがどのように決まっているのかを解明する。

 

●なぜNPIWによってFeは長距離輸送されるのか?(近藤、小畑、山下、西岡)

オホーツク海大陸棚からNPIWへ、Feが高濃度で長距離移送されるメカニズムを明らかにするため、NPIW内のFeの存在状態の解明を目指す。Feと有機錯体を形成して滞留時間を大きくする有機配位子(リガンド)の錯形成能と動態を、電気化学的手法である競合配位子平衡-吸着カソーディックストリッピングボルタンメトリーの測定と蛍光分析を実施して調べる。また、滞留時間の長い粒子に、微細なコロイド態Feが吸着・脱着を繰り返すことでFeが水平輸送される過程(リバーシブル・スキャベンジ)を想定し、溶存態Feに含まれるコロイド態Feの定量を行う。さらにオホーツク海中層に流速計、濁度計およびリモートアクセスサンプラーを係留し、中層水に取り込まれ移送される粒子濃度や水塊の化学的プロパティの時間的変動を調べる。

●なぜ西部北太平洋やオホーツク海で珪藻が大増殖するのか?(鈴木、中村、三寺、西岡):

本申請研究で新たに把握される“新栄養物質循環像+Fe/Si循環”が基礎生産に与える影響を把握する。西部北太平洋亜寒帯域では日本三陸東方沖(図4黒丸)で春から秋季まで継続的に起こる珪藻増殖過程に対象を絞る。この対象海域に、SiとFeの豊富な化学的プロパティをもつNPIWが、どのような濃度比を持って表層に各栄養物質を供給し、珪藻類の増殖を高めているのか把握する。そのために集中的な栄養物質分布と乱流パラメータの観測を実施し、中層から表層に移行する栄養物質フラックス比を把握し、表層の珪藻類の生理活性を測定する。南部オホーツク海では、海氷融解期におこる大規模春季珪藻ブルームを対象とする(図4白丸)。春季の海氷融解時期、冬季の海氷の覆う時期に、船舶を用いた海洋観測を実施する。特に東サハリン海流や海氷融解水からのFe供給過程、NPIW循環(中冷水)からのSi供給過程に着目して、北見大和堆からクリル海盆エリアに測点を設け、CTD-CMS(水温・塩分・深度センサー&採水システム)観測を実施する。また採取した海水のFe、Si、N、Pなどの栄養物質濃度、生物種組成、珪藻類の生理活性、溶存有機物、融解水&水塊トレーサーとなる酸素安定同位体比およびアルカリ度など生物地球化学パラメータを分析する。これらの知見から、どのようなプロセスで春季珪藻ブルームを形成する栄養物質の化学的プロパティが決定されているのかを明らかにする。

●将来の温暖化で海の恵みがどのように変化するのか?(分担:三寺、中村、三角、津旨、坪野、西岡):

上記で得られた知見とデータを用いて、海氷の駆動するNPIW循環や海氷融解水など化学的プロパティを決める要因と基礎生産を表現する数値モデルを構築する。モデルを用いて海氷が著しく減少した場合の植物プランクトン群衆種組成や量がどの様に変化するか予測する。

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学術的独自性・創造性

本研究に関わる研究者はこれまで北太平洋の「栄養物質循環」や「植物プランクトン増殖過程」の解明に取り組んできた。本研究は、代表者・分担者が、これまでに発見・検証した研究内容を、さらに進展させて発案された、国際的にも極めて独自性・創造性の高い研究である。我々が発見した海洋物質循環システムをベースに、地球規模から日本周辺のスケールを念頭に、水塊の化学的プロパティの形成過程から「海の恵みを生み出す仕組み」を理解するという新たな発想で、長年の謎となっている課題にチャレンジする。この点は、世界的にも最先端の研究であるとともに探索的で独創的な研究であり、成果が得られた場合のインパクトは大きい。また、海氷が駆動するプロセスを対象としており、温暖化による海氷減少に対する物質循環や生態系の応答の将来予測につながる喫緊の課題である。

本研究の着想に至った経緯

これまで本研究に関わる研究者は、「西部北太平洋の高い生物生産を生み出す仕組み」を理解するために、特に、植物プランクトン増殖の制限要因になりやすい鉄分の供給過程に着目した研究を展開し世界的な成果を上げてきた。1980年代から2000年代中頃に至るまでは、世界的には西部北太平洋の生物生産を生み出す鉄分は黄砂など大気ダスト由来が重要と考えられてきた。一方で、実際に西部北太平洋で起こっている生物生産活動の規模・大きさ・季節性などが衛星や精力的な船舶観測で明らかになって来ると、大気経由の鉄供給過程では生物生産活動の大部分が説明できないことが明らかになってきた。近年、我々の研究グループが実施してきた大規模な海洋観測(GEOTRACES国際プロジェクトや新学術領域研究で実施)によって、オホーツク海やベーリング海を含めた外洋の海盆スケールで海水中のFeの分布が明らかとなり、「海洋コンベアベルト終焉部の栄養物質循環像(図2)」が見えてきた。しかし、これまでに提示した物質循環像では、「Feが長距離輸送される」理由と北太平洋の重要な特徴である「Siが豊かになり珪藻類が優占種となる」理由が説明できていない。このため日本が面する海域の中で、豊かな水産資源を生み出し、CO2吸収に重要な役割を果たす珪藻類が増殖する仕組みが理解されていない。これまでに得てきた知見を飛躍的に発展させて「海洋コンベアベルト終焉部の新たな栄養物質循環像」を理解することで、日本周辺の「海の恵み」を生み出すシステムを完全に把握したいと考えている。

関連する国内外の研究動向と本研究の位置づけ

「海の恵み」を生み出すシステムを明らかにする本研究は、国連開発計画のSDG14「海の豊かさを守ろう」に掲げられた「海洋生態系の保全と持続的な海洋資源利用」の方向性を探る研究でもある。また、SDG14の達成のために2021年度より10年間かけて国連で取り組まれるUN Decade of Ocean ScienceのA healthy and resilient Ocean, A sustainable Productive Oceanに科学的な裏付けを与えることで貢献できる。2006年に、海洋の微量元素及び同位体の分布と制御するプロセスを明らかにすることを目指して国際GEOTRACES計画が立ち上がり、それまで技術的に困難であった海水中のFeの測定が世界的な規模で進められ、現在、全球的なデータセットの作成において国際的に連携している。我々のグループは、これまで北太平洋において先駆的に研究を進め成果を上げてきた。特にロシアとの共同研究を推進し、ロシアEEZも含めた縁辺海のデータを集めることで、ボーダレスに北太平洋を理解するための研究を展開してきた。この成果は、北太平洋独自の鉄供給プロセスを示し、海氷の存在する縁辺海が世界的にもユニークな海域を作り出している点で注目を集めており、今後の展開も注目されている(Anderson, Annual review of Marine Science, 2020)。本研究で取り組む「なぜ北太平洋はSiの豊富な点で特異的な海になるのか」については、海洋生物地球化学の分野で世界的に注目される残された課題である(Sarmiento et al., Nature 2004)。さらにオホーツク海は、世界でもっともアクセスし易い海氷域の一つであり、我々は海氷融解期の研究を飛躍的に進めることができる環境にある。「オホーツク海の流氷(海氷)は栄養物質を運び、豊かな生態系を支えている」との認識が一般に普及しているが、これは本当なのだろうか?我々の課題は、このような一般の人たちの間にある疑問についても、科学的な回答を与えることにつながる研究でもある。

研究組織メンバー

研究代表者:

西岡 純  北海道大学 低温科学研究所 環オホーツク観測研究センター

分担者・研究協力者:

中村知裕   北海道大学 低温科学研究所 環オホーツク観測研究センター

三寺 史夫  北海道大学 低温科学研究所 環オホーツク観測研究センター

山下 洋平  北海道大学 地球環境科学研究院

鈴木 光次  北海道大学 地球環境科学研究院

小畑     元  東京大学大気海洋研究所

近藤 能子  長崎大学 水産・環境科学総合研究科

安田一郎 東京大学大気海洋研究所

張  振龍 北海道大学 低温科学研究所 環オホーツク観測研究センター

南  秀樹 東海大学

三角和宏 電力中央研究所

津旨大輔 電力中央研究所

坪野考樹 電力中央研究所

村山愛子  低温科学研究所 環オホーツク観測研究センター 学術研究員

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研究成果(論文)リスト​

西岡 純, Schlitzer Reiner, 小畑 元, 近藤 能子, 張 勁, 海洋における微量元素・同位体のグローバルデータセット構築に向けたGEOTRACESの取り組み, 地球化学 (受理)

Yamashita, Y., J. Nishioka, Dissolved Iron Concentration and the Solubility Inferred by Humic-Like Fluorescent Dissolved Organic Matter in the Intermediate Water in the North Pacific Including the Marginal Seas, J. Geophys. Res., Ocean, https://doi.org/10.1029/2022JG007159, (2023). 査読有り、プレスリリース

Liu, K., J. Nishioka, B. Chen, K. Suzuki, S. Cheung, Y. Lu, H. Wu, H. Liu, Phytoplankton and microzooplankton population dynamics along the western area from the North Pacific to the Bering Sea in summer, Limnology and Oceanography, https://doi.org/10.1002/lno.12300, (2023).​ 査読有り、プレスリリース

Xiao, X., Y. Yamashita, M. Gonsior, and N. Jiao, The efficiency of the microbial carbon pump as seen from the relationship between apparent oxygen utilization and fluorescent dissolved organic matter. Prog. Oceanogr., 210, 102929, (2023). 査読有り

 

Endo, H., Y. Umezawa, S. Takeda, and K. Suzuki, Haptophyte communities along the Kuroshio Current reveal their geographical sources and ecological traits. Mol. Ecol., 32, 110–123, doi: 10.1111/mec.16734, (2023). 査読有り

Cheung, S., K. Liu, K. A .Turk‐Kubo, J. Nishioka, K. Suzuki, M. R. Landry, J. P Zehr, S. Leung, L. Deng, H. Liu, High biomass turnover rates of endosymbiotic nitrogen‐fixing cyanobacteria in the western Bering Sea, Limnology and Oceanography Letters 7(6), https://doi.org/10.1002/lol2.10267, (2022). 査読有り

Fukai, Y., K. Matsuno, A. Fujiwara, and K. Suzuki, Photophysiological response of diatoms in surface sediments to light exposure: A laboratory experiment on a diatom community in sediments from the Chukchi Sea. Front. Mar. Sci., 9, doi: 10.3389/fmars.2022.998711, (2022). 査読有り

Tanaka T., D. Hasegawa, T. Okunishi, I. Yasuda, T. P. Welch, In-situ calibration of underwater glider flight model using acoustic Doppler current profilers, J. Atmos. Oceanic Technology, 39, 1331–1352, https://doi.org/10.1175/JTECH-D-21-0074.1, (2022). 査読あり

*Wong, K. H., J. Xu, Y. Kondo, S. Takeda, A. S. Mashio, H. Hasegawa, H. Obata, Very strong but exchangeable organic ligand of cobalt in the marginal sea. Limnol. Oceanogr., 67, 6, 1299-1312, (2022). 査読有り

Wang, Y., R. Bi, J. Zhang, J. Gao, S. Takeda, Y. Kondo, F. Chen, G. Jin, J. P. Sachs, M. Zhao, Phytoplankton Distributions in the Kuroshio-Oyashio Region of the Northwest Pacific Ocean: Implications for Marine Ecology and Carbon Cycle. Frontiers in Marine Science, 9, 10.3389/fmars.2022.865142, (2022). 査読有り

Yan, D., J. Nishioka, T. Toyota, K. Suzuki, Winter microalgal communities of the southern Sea of Okhotsk: a comparison of sea ice, coastal, and basinal seawater, Prog. Oceanogr. 204, 102806, https://doi.org/10.1016/j.pocean.2022.102806,  (2022). 査読有り

小畑元, 黄国宏、海水中の微量金属元素に対する有機配位子の電気化学分析法, 地球化学, 56, 33‒46、(2022). 査読有り

Mashio, A. S., A. Ichimura, H. Yamagishi, K. H. Wong, H. Obata and H. Hasegawa, Determination of the sub-picomolar concentration of dissolved palladium in open ocean seawater. Mar. Chem., 243, 104124: doi.org/10.1016/j.marchem.2022.104124, (2022). 査読有り

Tazoe, H., H. Obata, T. Hara, M. Inoue, T. Tanaka and J. Nishioka, Vertical profiles of 226Ra and 228Ra concentrations in the western Subarctic Gyre of the Pacific Ocean, Frontiers in Marine Science, https://doi.org/10.3389/fmars.2022.824862, (2022). 査読有り

Wong, K. H., H. Obata, J. Nishioka, Y. Yamashita, Y. Kondo, Subarctic Pacific Intermediate Water: An Oceanic Highway for the Transport of Trace Metals in the North Pacific, Limnol. Oceanogr. Bulletin, https://doi.org/10.1002/lob.10490, (2022). 査読有り

Nishioka, J., I. Yasuda, T. Hirawake, T. Nakamura, Y. Kondo, Y. N. Volkov, Biogeochemical and physical linkages between the Arctic Ocean and Sub-Arctic Pacific through marginal seas, Prog. Oceanogr.203, https://doi.org/10.1016/j.pocean.2022.102768, (2022). 査読有り

Wong, K. H., J. Nishioka, T. Kim, H. Obata, Long-range lateral transport of dissolved manganese and iron in the subarctic Pacific, JGR-Ocean, 127(2), https://doi.org/10.1029/2021JC017652, (2022).​ 査読有り

Yokouchi, K., K. Suzuki, and T. Horiguchi, Comparative analyses of nutritional strategies among the species within the genus Paragymnodinium (Gymnodiniales, Dinophyceae). J. Phycol., 58, 490–501, doi: 10.1111/jpy.13253, (2022). 査読有り

Hirata, T. and K. Suzuki, Relative contribution of photophysiology and chlorophyll-a abundance to phytoplankton group-specific primary production in the Kuroshio region as inferred by satellite ocean colour remote sensing. J. Oceanogr., 78, 277–289, doi: 10.1007/s10872-022-00638-5, (2022).査読有り

Waga, H., A. Fujiwara, T. Hirawake, K. Suzuki, K. Yoshida, H. Abe, and D. Nomura, Primary productivity and phytoplankton community structure in surface waters of the western subarctic Pacific and the Bering Sea during summer with reference to bloom stages. Prog. Oceanogr., 201, 102738, doi: 10.1016/j.pocean.2021.102738, (2022). 査読有り

Nishioka J., T. Hirawake, D. Nomura, Y. Yamashita, K. Ono, A. Murayama, A. Shcherbinin, Y. N. Volkov, H. Mitsudera, N. Ebuchi, M. Wakatsuchi, I. Yasuda, Iron and nutrient dynamics along the East Kamchatka Current, western Bering Sea Basin and Gulf of Anadyr, Prog. Oceanogr., doi:10.1016/j.pocean.2021.102662, (2021). 査読有り

Suzuki, K., Y. Yoshino, Y. Nosaka, J. Nishioka, S. B. Hooker, T. Hirawake, Diatoms contributing to new production in surface waters of the northern Bering and Chukchi Seas during summer with reference to water column stratification, Prog. Oceanogr., doi:10.1016/j.pocean.2021.102692, (2021). 査読有り

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